メール・ドゥ・グラス〜レショ les balcons de la mer de glace

8月30日・31日 晴れ




モン・ブラン山群の懐に入っていくこのルートは素晴らしい展望が開けます。モンタンヴェールからメール・ドゥ・グラス(氷の海)を歩き1日目はレショ小屋に宿泊。2日目は山腹を歩きモンタンヴェールに戻る、周回ルートです。
モン・ブラン、エギュイーユ・ドュ・ミディから続くヴァレ・ブランシュが間近に迫り、シャモニから見る穏かなモン・ブランとはがらりと違った険しい表情がのぞけます。またレショ小屋からはグランド・ジョラス北壁全容が眺められ、その険しさに息を呑みます。
アイゼンで歩き慣れている人、高度からはしご、または手すりのつたい降りに慣れている人、氷河歩きの経験者以外はお勧めしません。
初心者の人で体力のある人にはシャモニーでのガイド付メール・ドゥ・グラス日帰りツアーもあります。


出発地点標高 モンタンヴェール Montenvers : 1913m
到着地点標高 レショ小屋 refuge de Leschaux : 2431m
クーヴェルクル小屋 refuge du Couvercle : 2681m
標高差 モンタンヴェール 〜 メール・ドゥ・グラス : 下り約90m
メール・ドゥ・グラス 〜 レショ小屋 : 約611m
レショ小屋 〜 クーヴェルクル小屋 : 250m
クーヴェルクル小屋 〜 メール・ドゥ・グラス : 下り約861m
歩行距離 モンタンヴェール 〜 レショ小屋 : 約7km
レショ小屋 〜 クーヴェルクル小屋 〜 モンタンヴェール : 約8.5km
所要時間 モンタンヴェール 〜 レショ小屋 : 約3時間45分
レショ小屋 〜 クーヴェルクル小屋 〜 モンタンヴェール : 約4時間
道具 アイゼン、ハーネス、ピケル、ザイル、カラビナ3、アイススクリュー2
地図 IGN 3630 OT









1日目
シャモニからモンタンヴェールへは登山電車を利用。赤い2両編成のアプト式電車は、標高差877mを約20分で駆け上ります。山腹をゆっくり走っていくので、車窓からは向かい側の赤い針峰群がよく見えます。
モンタンヴェールには、ホテル・レストラン、展望台、博物館などがあることから、いつも観光客や、登山者で賑わっています。
シャモニ〜モンタンヴェール間の鉄道は1909年に開通しましたが、それ以前、19世紀はじめには作家や科学者などの著名人がロバの背中に乗って、メール・ドゥ・グラスやその周りを取り巻く巨峰を見にこぞってやって来たそうです。



←シャモニのモンタンヴェール行出発駅








    ↓車窓から赤い針峰群方面を眺める

駅を降りたらまっすぐ直進して展望台を通り過ぎるとメール・ドゥ・グラスへ降りるための道へと続いて行きます。氷河上に降りるためにはいくつかの鉄はしごを通らなければなりません。このはしごが結構長く、垂直に降りているので、私も初めてのときはビビリました。何本に分かれて計100m近くあるかな。が慎重に降りれば大丈夫です。氷河に降りると冷たい風が吹き抜けるのを感じます。氷河上に降りると辺りは岩と石だらけで、ここが氷の上だとはちょっと思えません。氷河の先端の方はモレーンがあるくらいだし、山から押し出された岩や石が溜まるんですよね。ここでアイゼンとハーネスを装着します。
この辺りでは岩、石がごろごろしていているせいで結構歩きにくいものです。ちなみに私はアイゼンで石を踏む時のキィーという音が大嫌い。早く石ころ地帯から脱出しようと自然と足も速まります。

クレバスもところどころ有りますので気をつけましょう。。

大小の岩が転がっている
写真中央下の大きな岩の上から、アイゼンで削られた白い道が伸びている

最初のうちは進行方向の右側(右岸)を通ります。アイゼンで通った跡が削られて白く道になっているのでそこを進んで行きます。ところどころにケルンもあるのでそれを目印にもします。500mほど歩いたら斜面が少し緩やかになり、クレバスも少なくなったら氷河の中央に道を取ります。更に500mほど進むと、右岸にペンキで書かれた四角いマークを見つけることができます。これはアンヴェール・デ・ゼギュイーユ小屋へ行くためのはしごがかかっている場所を示しています。
この辺りになったら耳を澄ましてみましょう。滝の音が聞こえると思います。中央よりやや左岸よりにメール・ドゥ・グラスの有名なムーランがあります(流れてきた水がクレバスに落ち込み滝になったもの)。あまり身を乗り出してのぞきこまないように!

ムーラン
滝底は見えず、深さは・・・?これ以上は身を乗り出して撮影できず〜

メール・ドゥ・グラスはこの辺りから、二俣に分かれます。というか山から下りてきた氷河がここで合流してます。そのためこの辺りはクレバスができやすく、1/25000地図を見ても巨大なクレバスが示されています。それらを避けながら進んで行きます。
右側がタキュル氷河とその奥にジェアン氷河、左がこれから上っていくレショ氷河。
この分岐からは中央を上って行きます。レショ氷河は傾斜が緩やかなせいかクレバスも少なく、単純な氷河歩きになりますが油断は禁物。
天気が良かったせいで氷河も
溶けてところどころ小川のように水が流れています。

モンタンヴェール駅方面を振り返って見たとこ
手前タキュル氷河とその奥ジェアン氷河
レショ氷河と右に半分隠れているグランド・ジョラス

更に上り進めると、左手にエギュイーユ・ドュ・モワンヌと山腹のクーベルクル小屋が見えてくる。今日の目的地レショ小屋まではもうちょっと。

エギュイーユ・ドュ・モワンヌ 3412m (左)

モンタンヴェールからだと隠れていたグランド・ジョラスもこの辺りから全容を見せ始めます。目指すレショ小屋は左岸にあるので次第に左寄りに歩いていく。
この日は天気が良かったせいか、冷たい風にもかかわらず汗ばみました。でもやはり立ち止まったとたん体が冷えてきます。日が暮れかかるともっと寒くなるでしょう。小屋へは早めに着いた方がいいですね。
他の小屋同様に、小屋への道標は壁面にペンキで○が塗られています。レショ小屋へのアクセスは、このペンキが塗られたところに1本のザイルがぶら下がってますので、それを伝って登ります。氷河上から小屋までは約20分くらい。

グランド・ジョラス 4208m
レショ小屋から氷河合流地点を振り返る

レショ小屋は山腹にこぼれ落ちそうに建っている定員12名の小さな山小屋です。お手洗いは10mほど下にキャビネがあり、水は天然水です。小さな小屋なので中で食事をする時は荷物は外のテラスに置き、寝る時は食事用テーブルを外に出して荷物を中に入れます。中は小さな台所とその脇に管理人さんの寝る場所、2段ベットと食事スペースとでせいぜい35uくらいでしょうか。管理人さんは1名で、彼が食事も作ります。フルコースでデザート付き。今夜の宿泊者は全員で10人。
ただ困ったのがトイレ。夜管理人さんと他の宿泊者とで夜はワインをあけてワイワイしたのは良かったのですが、その後トイレに行きたくなりました。トイレは小屋からザイルを伝って10mほど下。ヘッドライトを頼りに用を済ませました、もちろん就寝後に2度ともよおしませんようにと祈りながら・・・ビールでなかったことに感謝しながら・・・。しかもこの晩トイレに行ったのは私だけでした。フランス人はどのように水分を消化したのでしょうか・・・。フランス人はどうしてあんなにトイレが遠いんだろうか?
私が宿泊した時は小屋の拡張工事中でした。2003年に完成との事。



2日目
朝食はテラスでコーヒーとパンで簡単にすませる。
天気はあまり良くなく、曇天。今日のルートははしごが結構あるので雨が降らないように祈る。
レショ小屋から中間地点のクーヴェルクル小山では山腹を這うように進みます。このルートは地図上には載っていませんが、わずかな道の跡が残っています。出発前に管理人さんにルートの確認をしましょう。小屋のすぐ裏に鉄はしごがあるのでそこから上っていきます。標高差はないのですが、左側がスッパリと氷河上まで切り落ちているので謝って足を滑らせないように慎重に。山腹をトラバースし終えたらタレフル氷河の先端のモーレンにぶち当たりますが、ここからはクーヴェルクル小屋が見えるので小屋目指してモーレンを横断。

クーヴェルクル小屋
しっかりした石造りの小屋で、定員128名
ここからはモン・ブラン、グランド・ジョラスが望め、モン・ブラン山群一展望の良い小屋と言われています

クーヴェルクル小屋からは先ほど横断したタレフル氷河寄りの下り道を取ります。この道はちゃんとした道で、登って来る人ともしばしば出会います。ここからメール・ドゥ・グラスに再び降り立つまで、約1.2km位の距離で標高差が約460mあるのでちょっと急ですね。下りでよかった〜なんて思いつつ、汗だくになって登っているに「もうじき小屋ですよ」なんて声をかける。

レショ小屋〜クーヴェルクル小屋までの間やクーベルクル小屋を出てメール・ドゥ・グラスに降り立つ直前はこんな感じの鉄手すりを伝います

見えにくいのですが、写真中央手すりの右に足置きが4つあります


結構高度感アリ
この岩壁をメール・ドゥ・グラスへ降りた立つために鉄はしごをいくつも降りた

写真中央ちょっと下の白い四角がペンキ印で、登り口を表示している

メール・ドゥ・グラスに降りたら往路同様、ところどころにケルンがあるのでそれを頼りにモンタンヴェール駅を目指して歩いていきます。
モンタンヴェールに戻るため、行きに降りた鉄はしごを上ります。結構しんどいですが、後ろが支えるので休む間もありません。

駅に着いたら電車を待つ間に展望台へ行き、もう一度遠くなったグランド・ジョラスを眺めながら、次回は逆周りで歩いてみようかなぁ、などと考えるのでした。



 





SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送